仮想通貨① - 総論
今回は,最近何かと話題になっている仮想通貨について考えてみたいと思います。
仮想通貨と言えば,ビットコイン(Bitcoin)がよく知られているところではありますが,その種類の数は1,500を超えているそうです*1。また,2018年2月4日現在の時価総額は,約4460億ドル(日本円にして約50兆円)となっており,約1年前の時価総額が約200億ドル(日本円にして約2.2兆円)であったことを考えると,市場が非常に拡大していると言えます*2。そして,通貨別の取引量を見てみると,ビットコインについては,日本円は全体の取引量の50%超を占めており,全通貨の中で一番の取引量を誇っています*3。
そのような中で,2018年1月26日,日本の仮想通貨取引所大手のコインチェックにおいて,仮想通貨の一つである「NEM(ネム)」580億円分が外部からの不正アクセスにより消失するという事象が発生しました。当該事象については,主に仮想通貨の管理体制の不備に対する批判が多く寄せられているところです。
そこで,当ブログでは,複数回に渡って仮想通貨の仕組みや仮想通貨の法的問題について考察していきたいと思います。今回は,総論として,仮想通貨の仕組みについて考えていきたいと思います。
仮想通貨(ビットコイン)の仕組み
ビットコインの仕組みを理解するにあたっては,その前提となるブロックチェーン(blockchain)技術を理解しなければなりません。ブロックチェーンとは,分散型台帳技術とも呼ばれ,その名の通り,ブロックが互いに結びつき,絶え間なく増大する記録(record)のリストを形成するものである。それぞれのブロックには,前のブロックの暗号化されたハッシュ関数(cryptographic hash of the previous block),タイムスタンプ(timestamp)及び取引データ(transaction data)が含まれています。そして,それぞれのブロックは,暗号(cryptography)によって結合され,保護されています。以上を図式化すると以下のようになります。
ブロックチェーンの構造
ここからは,ブロックチェーンの構造についてより詳しく説明していきます。ブロックチェーンの構造を理解することによって,そこからもたらされるブロックチェーンのアドバンテージについてもよりよく理解することができると思われます。
ブロックチェーンは,分散型の公開されたデジタル台帳であり,全てのブロックの変更及びネットワークの合意のない限り,当該記録が遡及的に変更されないように,多数のコンピュター間で取引が記録されます。このことによって,参加者は廉価で取引を確認し監督することができます。ブロックチェーン・データベースは,peer-to-peer(P2P)ネットワーク及び分散化されたタイムスタンピング・サーバー(timestamping server)を用いて自律的に管理されています。
*1:Retrieved from CoinMarketCap, Cryptocurrency Market Capitalizations, https://coinmarketcap.com, last visited Feb 4, 2018.
*2:Id.
*3:2018年2月4日現在。Retrieved from https://www.cryptocompare.com/coins/btc/analysis/JPY?type=Currencies&period=ALL.